研究概要 |
双胎胎児における心収縮率(FS),心室拡張終期径(EDD),尿産生率(UPR)及び臍帯動脈RI値(RI)をクラスター分析を用いて群別化し,さらに胎盤所見との関連を検討した。その結果,1)対象例76例は大きい児(L児)のEDD及びUPR高値でFS低値(I群),小さい児(S児)のUPR低値,S児のRI高値(II群),各指標正常(III群)の3群に群別された。2)胎盤所見はI群全例,II群5例(41.7%),III群11例(19.0%)で一絨毛膜性胎盤であり,II群は他の群より臍帯卵膜付着及び胎盤梗塞の頻度が有意に高かった。3)各群の臨床像は,I群はII,III群より周産期死亡が有意に多く,分娩時妊娠週数は有意に低く,II群の臍帯動脈血pHはI,III群より有意に低く,また,I,II群のdiscordancyの頻度はIII群より有意に高かった。以上より,L児に心機能不全,腎血流量の増加及びS児に腎循環不全の存在する群では一絨毛膜性胎盤が,S児のみに胎盤循環不全の存在する群では臍帯の胎盤付着部位の異常あるいは胎盤梗塞が疾病発生の要因であることが分かった。
|