研究課題/領域番号 |
08671903
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
月森 清巳 九州大学, 医学部, 助手 (90253450)
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研究分担者 |
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 助手 (00225947)
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
中野 仁雄 九州大学, 医学部, 教授 (40038766)
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キーワード | 正常妊娠 / 妊娠中毒症 / 慢性高血圧 / 血管内皮細胞 / 好中球 / 活性酸素 |
研究概要 |
本研究では、微小循環系を構成する細胞群の機能の経時的な変化と相互の関連から、1)正常妊娠における好中球と血管内皮細胞の双方の細胞機能ならびに細胞間相互作用の妊娠の進行にともなう推移を明らかにするたと、2)ついで、妊娠中毒症および慢性高血圧合併妊娠を疾患モデルとして、正常妊娠との対比から本症の病像の増悪と好中球と血管内皮細胞の細胞機能との関連を明らかにすることを目的とした。その結果、正常妊娠においては、1)妊娠19-22週の極めて限られた期間において、好中球の活性酸素産生能が亢進していること、2)この好中球の活性酸素産生能の亢進には血清に存在する因子が関与することが分かった。また、妊娠中毒症においては、1)好中球の活性酸素産生能が亢進していること、2)好中球の脱顆粒現象が亢進していること、3)この活性化した好中球は血管内皮細胞を傷害すること、4)妊娠中毒症の好中球は血管内皮細胞に対する接着能が亢進していること、および5)これらの事象の発現には血清の作用が関与することが明らかとなった。これらの成績は、妊娠中毒症では血清の作用によって微小循環系の機能的な破綻が生じていることを示唆する。言い換えれば、はじめに好中球の生成する活性酸素産生系および脱顆粒現象の亢進が、次いで好中球の血管内皮細胞への粘着の亢進が惹起され、終末像として好中球の血管内皮細胞の傷害に基づく血管の攣縮が発現してくるものと考えられる。
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