研究概要 |
分娩発来前の帝王切開時の胎盤より羊膜、脱落膜組織を分離した。羊膜は、トリプシン処理により、脱落膜組織はコラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ処理後フィコール比重遠心法を用いて、細胞浮遊液を得た。この細胞を、無血清もしくは10%牛胎児血清添加の培地(IMDM)にて、種々の濃度の添加物質または中和抗体・アンタゴニストの存在下に、37℃、5%CO_2-95%Airのもとで培養した。 Platelet-activating factor (PAF)を不活性化する酵素PAF-acetylhydrolase (PAF-AH)の培養脱落膜マクロファージからの分泌に及ぼす種々の活性物質の効果を検討した。 PAFはPAF-AHの分泌を濃度依存性に抑制した。このPAFの効果はPAF受容体拮抗物質(CV2068)によって特異的に阻止された。Protein kinase Cの活性化因子であるTPAも脱落膜マクロファージからのPAF-AHの分泌を濃度依存性に抑制した。このTPAの効果はTPAの拮抗物質(H-7)によって特異的に抑制された。エンドセリンもPAF-AHの分泌を濃度依存性に抑制した。また、TGF-β,IFN-γ,IL-6,IL-8等のサイトカインは、脱落膜マクロファージからのPAF-AHの分泌を濃度依存性に抑制した。一方、M-CSFは脱落膜マクロファージからのPAF-AHの分泌を濃度依存性に促進した。これらの効果はその物質に対応する中和抗体によって特異的に阻止された。 以上の成果は、日本産婦人科学会等においてその一部は発表され、また、米国婦人科学会において発表される予定である。
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