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1998 年度 実績報告書

受精の着床前遺伝子診断の臨床応用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 08671908
研究機関鹿児島大学

研究代表者

永田 行博  鹿児島大学, 医学部, 教授 (30038806)

研究分担者 丸田 邦徳  鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (50301388)
沖 利通  鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (60253879)
堂地 勉  鹿児島大学, 医学部, 助教授 (60150413)
キーワード着床前診断 / 遺伝子診断 / FISH法 / PCR法 / 割球生検 / 倫理
研究概要

I 研究目的:出生前診断法は産科・周産期医療の発展に非常に貢献してきたが、「選択的人工妊娠中絶」あるいは「選択的出産」が問題になった。このような矛盾を回避する目的で開発されたのが、「着床前遺伝子診断」あるいは「着床前診断」である。われわれはこの着床前診断法を臨床の場に導入し、臨床応用することを目的に研究を開始した。
II 研究の成果:われわれはすでにマウスにおいて受精卵のBiopsyによる割球採取からPCR法による遺伝子診断法までを検討し、ヒトへの臨床応用の可能性を示した。この研究ではヒトへの臨床応用を目的に、次の項目について検討した。
(1)HITO受精卵の割球生検法の確立(2)割球除去後の受精卵の生存性と着床能に関する検討(3)PCR法による採取1割球からの遺伝子診断法の確立(4)FISH法による採取1割球からのXおよびYの性別診断法の確立(5)FISH法による染色体異常に関する検討(6)着床前診断法の安全性に関する検討(7)臨床応用におけるインフォームド・コンセントの検討(8)倫理的問題に関する検討(9)公開講座の開催
これらの研究成果は、結果的には日本産科婦人科学会の着床前診断の臨床研究の承認に結びつき、臨床応用への道を開いた。
III まとめと今後の展望:日本における着床前診断は、今その臨床応用の入口に到達したといえる。この診断法の検討の過程において、生命倫理について広く議論されたことは大きな収穫であった。われわれは、倫理的問題については誰もが納得する完全な解決法はないのではないかという理解に至ったが、この着床前診断は少なくとも出生前診断よりは倫理的問題の少ない診断法であると確信している。
この診断法のもっとも医学的に重要な問題点は、依然として診断法の精度である。しかし、遺伝子診断法は急速に進歩していることから、近い将来完璧な診断法が確立されるであろうと期待している。さらに、この診断法の導入によって惹起される可能性のある事柄は、診断対象疾患が無限に拡大されることへの懸念であり、受精卵の遺伝子操作への道を開かないかという点である。これらについては、今後も検討を継続することが重要である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Takeuchi K: "Embryp biopsy and genetic diagnosis using polymerase chain reaction and fluorescence in situ hybridization from single cells in human embryos" Assisted Reproduction Reviews. 6(1). 20-22 (1996)

  • [文献書誌] Kakinoki H: "Mutations and DNA diagnoses of classical citrullinemia." Human Mutation. 9. 250-259 (1997)

  • [文献書誌] Nagata Y: "Problems in genetic diagnosis in Obsteerics and Gynecdogy-Perimplantation genetic diagnosis" Asian Med.J. 40(7). 368-374 (1997)

  • [文献書誌] Ikeda T: "Super-rapid FISH for identification of the sex of peripheral blood lymphocytes and preimplantion embryos." J Obstet Gynaecol Res.24(3). 167-171 (1998)

  • [文献書誌] 永田 行博: "受精卵の着床前診断" 周産期医学. 28(8). 1009-1012 (1998)

  • [文献書誌] 池田 敏郎: "FISH法による着床前診断" 産婦人科の世界. 50(4). 265-270 (1998)

  • [文献書誌] 永田 行博: "3章 生殖医療と倫理問題,青野敏博編" 医学書院, 204 (1998)

  • [文献書誌] 永田 行博: "受精卵の着床前診断の現状と将来 鈴木秋悦著-卵子と精子-不妊の病態をさぐる-" メジカルビュー社, 186 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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