研究課題/領域番号 |
08671915
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鈴森 薫 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (80117829)
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研究分担者 |
荒川 敦志 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00254300)
生田 克夫 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (10176076)
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キーワード | Differential Display法 / 子宮内膜症 / In situ hybridization / Serine protease inhibitor / 免疫組織染色 |
研究概要 |
開腹手術あるいは腹腔鏡手術の施行された子宮内膜症を有する患者(テスト)及び他疾患にて手術の適応となった患者(コントロール)により、同意の上、卵巣子宮内膜症組織、子宮内膜組織、卵巣組織を採取し、急速凍結検体及び4%ホルマリン固定検体を作製した。卵巣子宮内膜症2検体とコントロール卵巣組織2検体、計4検体より、Differential Display法にて、mRNAを抽出しcDNA合成後、35S-dATP存在下にRT-PCRを施行し、電気泳動し、オートラジオグラフィーにて卵巣子宮内膜症2検体のみに発現を認めるバンドを切り出し抽出、精製し、再度PCRをかけゲル抽出、精製しpGEM-TベクターにてTAクローニングを行った。プラスミドを作製しIn situ hybridization、Northern blot、Base sequencingを行い、スクリーニングした。結果的に、1つのクローンを取得し、In situ hybridizationでは卵巣子宮内膜症組織の子宮内膜様上皮細胞に特異的に発現がみられ、このクローンは子宮内膜症を有する患者の子宮内膜腺細胞にも発現がみられたが、正常の子宮内膜組織及びコントロール卵巣組織では明らかな発現を認めなかった。このクローンはをNorthern blotでは、卵巣子宮内膜症組織と子宮内膜症を有する患者の子宮内膜組織にのみ約0.7〜0.8kbのバンドが検出され、Base sequencingでは、ホモログリサーチの結果、Serine protease inhibitor をコードする転写産物に99%以上のホモロジーを有していた。この遺伝子は正常耳下腺、気管支腺、子宮頚部粘液腺等に特異的に存在し感染防御にも働き、Bacterial LPS (Lipopolysaccaride)刺激にてMacrophageから産生され、Protease inhibitorとして分泌されることがわかっている。子宮内膜症患者5名の卵巣子宮内膜症組織の子宮内膜様上皮細胞、及び子宮内膜腺細胞に特異的に発現をみることが確認された。またAnti-human Goat polyclonal antibodyにて免疫組織染色したところ、子宮内膜様上皮細胞と子宮頚管粘液腺細胞に特異的に染色を認め、この結果により今後は蛋白レベルでの局在および発現量を調べると共に、子宮内膜症発症の分子生物学的機序の一助となると考えられる。
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