研究概要 |
apoptosisに伴う染色体の形態的変化を理解するためには、まず正常染色体の間期細胞核における染色体の三次元的形態変化を知ることが必要である。また、apoptosisが細胞周期に依存するのであれば、染色体に細胞周期に伴う形態変化もあらかじめコントロールとして検討しておかなければならない。そこで、臨床検体を用いて、第17番染色体の三次元分布と形態の変化は細胞周期に依存することをあきらかにした。細胞浮游液を肥大扁桃から作製し、第17番染色体Whole painting probeあるいはセントロメア特異的プローブを用いた蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)で検出した。次にフローサイトメトリー(FCM)でG0+1,SおよびG2+M期より細胞を分取し、共焦点レーザー顕微鏡で観察し、光学的連続切片を作製し、三次元像を再構築した。統計学的に、G0+1,S期において染色体は明らかに核周辺に偏在した。G0+1期には染色体の形態は卵円形で、核膜にそって羽を延ばしたように存在し、かつ蛍光は粗であった。S期になると、核膜から少しはなれ蛍光は密になった。G2+M期では密になった染色体が核中心に移動した。G0+1,S期における染色体に偏在は細胞活動に伴う物質の取捨を効率よくするためと考えられた。これらの結果をコントロールとしてapoptosisを起こした細胞核の三次元像を検討中である。
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