研究概要 |
絨毛細胞の増殖、進入、分化を検討するためには、絨毛細胞自身によるautocrine的な調節機構と脱落膜細胞、macrophageなどの免疫担当細胞によるparacrine的な調節機構を分けて考える必要がある。妊娠中絶症例や分娩時に得られた胎盤や脱落膜より得たcell lineでは、trophoblastやdecidual stromal cellに免疫担当細胞が混在するため、純粋なtrophoblastやdecidual stromal cellの培養系を作ることは困難であるため、我々はSV40のlarge T geneを用いてtrophoblastやdecidual stromal cellの不死化細胞(immortalized trophoblast cell line:TCL,immortalized decidual cell line:DE-1)を作成し、純粋なcell lineを用いて上記の検討を行った。 【成績】 (1)TCLは以下のcytokinesやPGs,ホルモン等を産生する。G-CSF,TGF-β,VEGF,PGE_2,PGF_<2α>,TIMP,t-PA,PAI-1,hCG,progesteroneなど。DE-1は以下のcytokinesやPGs,ホルモン等を産生する。IL-6,IL-8,G-CSF,TGF-β,VEGF,PGE_2,PGF_<2α>,TIMP,t-PA,PAI-1,prolactinなど。 (2)TNF-αはTCLのDNA合成をapoptosisを誘導することにより濃度依存性に低下させる。progesterone産生はやや増加させるが、その作用は強くない。 (3)TCLより得たmediiumはDE-1のDNA合成に影響を与えずに、DE-1によるPGE_2産生を濃度依存性に抑制する。 (4)DE-1より得たmediumはTCLのprogesterone産生を濃度依存性に増加させ、TCLのDNA合成を濃度依存性に抑制する。この抑制作用は、DE-1をリンパ球とともに培養すると消失する。
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