研究概要 |
エストロゲンが発症あるいは疾患の進展に関連すると推定される産婦人科疾患のうち子宮内膜癌に本年度は焦点をしぼって研究を行った。順天堂大学医学部付属病院およびその関連病院において手術を行った子宮内膜癌患者につき、患者の同意を得られた58例につき症例の分析とエストロゲン受容体遺伝子多型の解析を行った。組織型はendometrioid52例、adenoacanthoma4例、その他2例であった。58例のうちPPは11例(9.0%),Ppは25例(43.1%),ppは22例(37.9%)であった。子宮内膜癌と診断された時点での年齢はPP52.8歳、Pp53.6歳、pp54.8歳で差は認められなかった。組織分化度によってみていくと、G1,G2,G3がそれぞれPPでは8、2、0、Ppでは12、3、6。ppでは12、5、3となり、悪性であるG2とG3の比率がPPで低い傾向が認められた。進行期別にみていくと、Ia,Ib,Ic,II、III、IVがPPで2、6,1,1,0,0,Ppで4、12、4、1、3、0、ppで0、12、5、2、1、2であった。II期以上の進行例の比率はPP9.1%、Pp16.7%,pp22.7%とはやりPPで低い傾向がみたれた。筋層浸潤があるIb期以上の症例はPP80.0%,Pp83.3%,pp100%とやはりPP,Pp,ppの順に増加する傾向が認められた。従って子宮内膜癌でみていくとPP,Pp,ppの順に組織悪性度の高いもの、また進行例のものが増加する傾向が認められた。
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