研究概要 |
1)これまでの予備実験データに基づき卵巣癌細胞株2008内プロティンキナーゼC(PKC)の枯渇化による白金製抗癌剤の感受性制御能を検討した。まず12-0-Tetradecanoyl phorbol acetate(TPA)48時間の前処置(TPA48)処理により2008細胞内PKC活性は約2倍の亢進を認めた。TPA48はシスプラチン(DDP)、254-S、そしてPKC活性化対し感受性がコントロールされなかったDWA2114Rの感受性をいずれも約2倍増強させた。TPA48はDDP耐性細胞2008/C13^*5.25においても上記3者の白金制抗癌剤感受性を2008細胞とほぼ同等に亢進させた。TPA48によるDDPの細胞内取り込みへの作用を検討すると、2008/C13^*5.25細胞においてのみ約50%の増量を認め、2008細胞では本処理による細胞内薬剤濃度への変化は認められなかった。 2)更にInositol代謝調節酵素の一つであるphosphatidylinositol 4-kinase阻害剤(Orobol)によるDDP感受性制御能を検討し予備実験にて本例の感受性増強を確認した。 3)一方PKC活性剤のなかで生態応用可能なTNFαがin vitroにおいてDDP感受性増強能を有することに基ずきTNFαのヌードマウス移植卵巣腫瘍に対するDDP抗腫瘍効果への最終検討を行った。これまでの結果に加えTNFα単独ではDDP毒性に影響を及ぼさず,DDP,TNFα併用治療群ではTNFαによる低用量DDP抗腫瘍効果の増強効果を認め,約6倍の腫瘍増殖遅延効果を示した(P<0.005)。更に、TNFα,DDP併用投与群ではDDP単独投与群に比し1.33倍のmedian survival有意延長を認め(P<0.005),TNFα併用による延命効果を認めた。
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