研究概要 |
(1) 昨年までの検討から卵巣癌細胞株2008における12-0-Tetradecanoyl phorbol acetate(TPA)48時間処理(TPA48)の白金製剤感受性増強作用は(1)細胞内グルタチオン濃度の低下(2)細胞内薬剤蓄積量の増加を主とした多因子性であることが示唆された。 しかしTPAl時間処理(TPAl)での自金製剤感受性増強作用には既成因子の関与は認められず、TPA48とTPA1にはそれぞれ異なる刺激伝達経が関与するものと考えまずProteinkinase C(PKC)活性の経時的変化を検討した。PKC活性はTPA1で約40%上昇しTPA48で約40%のDown-regulationを認めた。(2)次いで本細胞株のPKC isotypeを8種類のIsotype特異的抗体を用いるWestem blotにより解析した。その結果、本細胞にはPKCα,PKCζの2種類のみが検出され更にTPA48に反応しうるPKCはPKCαisotypeのみであることが判明した。(3)Phosphatidylinositol 4-kinase(PI4K)活性制御剤、Orobol(Or)の感受性増強効果は細胞処理後Or添加までの時間(T)に依存し、処理後24hr(T24)では有意変動を認めず、48hr(T48)で2.1±0.4倍の亢進を認めた。同様にPI4K活性もT24では有意変動を認めなかったが、T48では9.6±1.9倍の亢進を認めた。 (4)本細胞の増殖曲線ではT48から増殖期に入り、FCM解析ではT48にのみコントロールに比べG2+M期に3.9倍の増加を認めたことからOrの効果は細胞増殖期に特異的である.ことが示唆された。(5)OrのDDP感受性増強能はDDP耐性細胞C13*5.25に対してもT48に限り認められた。
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