[目的]妊娠中毒症においては、血小板凝集亢進状態が存在することは良く知られている。また、アデノシンは強力な血小板凝集抑制作用を保持していることから、妊娠中毒症の血小板凝集亢進状態の改善に関与している可能性が考えられる。したがって、アデノシンの強力な血小板凝集抑制作用に着目し、妊娠中毒症における胎児胎盤系アデノシンの分泌と血小板凝集抑制作用の関係を検討することを目的として本研究を行なった。 [方法]本年度は妊娠中毒症と静脈血漿アデノシン濃度と血小板凝集抑制との関係の検討を行なう為、妊娠中毒症と非妊娠中毒症妊婦の肘動脈血を採取し、アデノシン濃度を測定し、血小板凝集抑制作用との関係を検討した。 [成績]妊娠中毒症妊婦においては非妊娠中毒症妊婦より血漿アデノシン濃度が増加していた。しかも血漿アデノシン濃度と血小板凝集能と有意な相関がみられた。 [本年度研究実績の総括] アデノシンは強力な血小板凝集抑制作用を保持していることから、妊娠中毒症の血小板凝集亢進状態の改善に関与している可能性が示唆された。
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