研究課題/領域番号 |
08671954
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中野 雄一 新潟大学, 医学部, 教授 (80018316)
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研究分担者 |
五十嵐 文雄 日本歯科大学, 新潟歯学部, 教授 (30176060)
野々村 直文 新潟大学, 医学部, 助教授 (00156217)
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キーワード | 中耳腔 / ガス交換 / 経粘膜換気 / 正常耳 / 炎症耳 |
研究概要 |
生後1か月のブタ正常耳を用い、中耳腔圧と血液中の二酸化炭素分圧、酸素分圧との関連を検討した。全身麻酔下に気管内挿管を施行し、嚥下による経耳管換気を防止した。調節呼吸を行い、過換気状態あるいは低換気状態と条件を変化させながら、ティンパノメトリーを用いて中耳腔圧を間欠的に計測、同時に血液ガス分析を行った。 中耳腔圧は、過換気状態にして血液中の二酸化炭素分圧を低下させると陰圧傾向を、逆に低換気状態にして血液中の二酸化炭素分圧を上昇させると陽圧傾向を示した。このことから中耳腔内と中耳粘膜下結合組織中の血管との間では活発な二酸化炭素の交換が行われていることが明らかとなった。一方、中耳腔圧は血液中酸素分圧の変化とは明らかな相関を示さず、中耳腔圧は血液中の二酸化炭素分圧の影響をより強く受けることがわかった。一般に、気相と液相間のガス移動量はガスの拡張係数に比例し、二酸化炭素の拡散係数は酸素のそれの約20倍といわれている。この拡散係数の違いにより血液中二酸化炭素分圧の変化が中耳腔圧により強い影響を及ぼしたものと思われる。 グリセリンを中耳内に注入して炎症を惹起し、炎症耳に対しても同様な実験を行った。炎症耳では血液中の二酸化炭素分圧を変化させても中耳腔圧が変化しない例、あるいは血液中の二酸化炭素分圧とは無関係に中耳腔圧が持続的に低下する例が認められた。これらの所見は炎症耳では経粘膜換気能が障害されていることを示すと考えられ、さらに実験を追加している。
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