本研究は、吃音発生時の声門レベルの異常に焦点をあて、低周波電流が吃音発生の抑制にどのように関与するかを検討することを目的としている。 平成9年度(2年目)の目的は、前年度に引き続き低周波電流刺激装置の刺激基礎実験を行った。前年度に問題となった電極の種類はジェルトロード電極に変更したことで頸部での装着が容易になった。 実験は、成人吃音者2名の左右いずれかの頸部の反回神経が走行していると思われる部位に電極を接着して行った。50-60Hzで5-10mAの電流を流し、文章音読時の吃音抑制の有無を検討した。比較のために電極を装着しない時と、上肢に電極を装着して電流を流した時の吃音発生頻度をビデオまたはカセットテープレコーダに収録して評価・検討した。 その結果、Blockを主症状とした1例は文章音読時の吃音発生時に頸部に装着した電極に電流を流すと吃音が減少する傾向が認められ、著しい随伴症状も軽減した。しかし、もう1例は随伴症状が目立たない例でrepetitionとhesitationを主症状としたタイプであったためか電流の有無で吃音の減少が明確ではなかった。
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