平成10年度研究実績 本研究は、吃音発生時の声門レベルの異常に焦点をあて、低周波電流が吃音発生の抑制にどのように関与しているかを検討することを目的としている。 平成10年度は(3年目)は、前年度に引き続き低周波電流刺激実験を行った。実験は前年度電流刺激時に吃音の発生頻度や随伴症状に影響が出現したと考えられた1成人例を対象に50-60Hzで5-10mAの電流を頚部に接着した電極に流し、会話時、文章音読時の吃音抑制の有無をビデオやカセットテープに録音して検討した。あわせて、心理的評価も行った。また、他の吃音治療法として知られている、メトロノームにあわせて音読を行うなどの発話速度を低下させた方法時の吃音発生評価も比較検討した。発話速度を遅くさせた方法は、吃音発生頻度が著しく低下するが、患者本人の満足度が低かった。一方、電流刺激法は、通常の発話スピードを維持したままで吃音発生頻度が減少傾向にあるので、心理的不安の減少にもつながることが示唆された。
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