研究概要 |
以前より我々は、加齢現象による影響を聴覚機能の面から、聴性脳幹反応(auditory brainstem response、以下ABRと略す)及び蝸牛神経複合電位(compound action potential、以下CAPと略す)を指標として、報告してきた。 しかし、我々の報告を含めて今までは、種々の問題により、対象の数が非常に少ないのが現状であった。今回、対象の数を増やして、ハートレイ系モルモットをA群2-4カ月齢:43匹,B群13-15カ月齢:29匹、C群23-25カ月齢:23匹の3群に分類した。そして、蝸牛神経複合電位(compound action potential,以下CAPと略す)を指標として、その域値、潜時、振幅に関して検討した。 各群間のCAPの閾値は、A群:45.3±8.2dBpeSPL、B群:61.6±12.8dBpeSPL、C群:68.4±11.3dBpeSPLであり、月齢とともに有意に聴覚閾値が上昇した。また、N1潜時は、3群間で有意に延長し、N1振幅は、A群とB群、A群とC群との間で、有意に差がみられた。 しかし、CAPの入出力関係曲線を検討すると、月齢の高いモルモットでも若いモルモットと同じ域値を示す個体も存在し、ヒト同様に個体差のあることが判明した。
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