研究概要 |
以前より我々は、加齢現象による影響を聴覚機能の面から、聴性脳幹反応(auditory brainstem response,以下ABRと略す)及び蝸牛神経複合電位(compound action potential,以下CAPと略す)を指標として、報告してきた。 今回は、ABRとCAPを測定するとともに、モルモットの内耳有毛細胞を日立S-4500走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。 2ヵ月齢のモルモットでは、ABRとCAPの閾値は左右とも、45dBpeSPLまで観察された個体は、SEMでは、外有毛細胞、内有毛細胞とも配列、聴毛の乱れは観察されなかった。500倍から15000倍で観察した結果、諸家の報告と同様に、聴毛の特徴は、同一回転では、第1列より第3列に向かうにつれて、長さは長くなる、太さは太くなる、数は少なくなるという結果であった。また、回転別では、聴毛は、上方回転に向かうにつれて、長さは長くなる、数は少なくなる、第1列より第3列の各聴毛の長さの差が大きくなるという特徴がみられた。 15ヵ月齢のモルモットでは、回転により差がみられるものの、やや、外有毛細胞も内有毛細胞も変形や一部消失している部位がみられた。4年齢のモルモットでは、ABRとCAPの閾値もかなり上昇し、外有毛細胞も列に関係なく、内有毛細胞も変形、消失がみられた。 以上、今回の結果では、加齢とともに聴毛に変化が観察されたが、以前よりABR、CAPの結果でも報告しているように、個体差もあるのも事実であった。今後、さらに対象個体数を増やすことにより、より明かになるものと思われた。
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