口蓋扁桃は抗原特異的免疫応答の誘導部位さらには実効部位として機能しているか?

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08671964
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 島根医科大学
• 研究代表者: 岩元 純一 島根医科大学, 医学部, 助手 (20284036)
• 研究分担者: 佐野 啓介 島根医科大学, 医学部, 助手 (10263542) ; 川内 秀之 島根医科大学, 医学部, 教授 (50161279)
• キーワード: NALT / 口蓋扁桃 / 粘膜免疫 / 免疫担当細胞 / ホ-ミング

研究概要

ヒトの口蓋扁桃に類似した扁桃組織を有するミニブタを実験動物に用いて、上気道粘膜での免疫応答成立における扁桃の役割について検討した。
そのため、まずミニブタ扁桃組織の組織学的構造を検討したが、ヒト口蓋扁桃と同様に、陰窩を有し、扁平上皮で被覆され、実質内にリンパ濾胞さらに胚中心が存在することが示された。さらにブタ免疫グロブリンに対する抗体を用いて扁桃リンパ球のB細胞サブセットについて検討した結果、B細胞サブセットが存在することがわかった。一方ミニブタT細胞に対するモノクローナル抗体の作製を試みているが、いまだにT細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体が得られていない。次に、純系のミニブタを用いた検討により、扁桃リン球の受動移入実験が可能であるかどうか、さらに受動移入した扁桃リンパ球が鼻咽喉粘膜をはじめとした上気道の粘膜や扁桃組織にホ-ミング(帰趨)するかどうかについて検討した。その結果、受動移入は可能であり、上気道粘膜に抗原刺激によりホ-ミングしうることがわかった。現在、抗原特異的な粘膜免疫応答における免疫相当細胞の動員について検討している。

研究成果

• [文献書誌] 川内秀之: "鼻咽喉の局所粘膜免疫応答における扁桃の役割" 口腔咽頭科. 8(3). 337-344 (1996)
• [文献書誌] Hideyuki Kawauchi: "Mucosal immunity of nasopharynx : an experimental study in mice." Proceedings of the 16World Congressof Ptorhinolaryngology Head and Neck Surgery,Australoa,Sydney,March 2-7,1997. 1717-1720 (1997)
• [文献書誌] 川内秀之: "鼻粘膜における局所免疫応答機構の解析・マウスを用いた実験的検討-その2-" 日本鼻科学会誌. 36(2). 40-44 (1997)
• [文献書誌] 川内秀之: "TCRトランスジェニックマウス(OVA23-3)を用いた鼻粘膜局所免疫応答の実験的検討" 耳鼻咽喉科免疫アレルギー. 15(2). 158-159 (1997)
• [文献書誌] 柴 宏巳: "ヒト鼻咽腔粘膜における抗原提示細胞の分布について" 耳鼻咽喉科免疫アレルギー. 15(2). 166-167 (1997)
• [文献書誌] 川内秀之: "ヒト口蓋扁桃リンパ球のマウスへの移植の試み-NOD-scidマウスを用いた検討-" 日本耳鼻咽喉科感染症研究会会誌(発表予定). 16. (1998)
• [文献書誌] 川内秀之: "JOHNS Vol.12.中耳の免疫と感染論" 東京医学社, 6 (1996)
• [文献書誌] 川内秀之: "医学のあゆみ177.Nasal tolerance(経鼻免疫寛容)と鼻疾患に対するその応用" 医歯薬出版, 4 (1996)