ヒトの口蓋扁桃に類似した扁桃組織を有するミニブタを実験動物に用いて、上気道粘膜での免疫応答の成立における扁桃の役割について検討した。ミニブタ扁挑の組織学的検討では、光学顕微鏡レベルならびに電子顕微鏡レベルの観察により、軟口蓋正中縫線の左右に存在するミニブタ扁桃組織が、ヒト口蓋扁桃を同様に、陰窩を有し、扁平上皮で被覆され、実質内にリンパ瀘胞さらに胚中心が存在することが示された。さらにブタ免疫グロブリンに対する抗体を用いて扁桃リンパ球のB細胞サブセットについて検討した結果、B細胞サブセットが存在することが示唆された。さらに純系のミニブタを用いた検討より、扁桃リンパ球の移入実験が可能かどうか、さらに受動移入した扁桃リンパ球の末梢粘膜組織へのホーミングについて検討し、受動移入は可能であり、ホーミングしうることもわかった。しかしながら、ミニブタT細胞に対するモノクローナル抗体の作製については、T細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体を未だ確立していないため、T細胞の観点からみた検討には至っていない。
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