1)回転テーブルの作成 空間識が眼球運動、身体骨格系に及ぼす影響を同時に調べるため、直径が100cm、高さが31cm、重量が85kgの回転テーブルを作成した。テーブルの回転速度を毎秒7度から127度まで無段階に調節することが可能である。安全を考え、回転テーブルの周囲にド-ナツ状に幅50cmの踊り場を設けた。 2)空間識が眼球運動に及ぼす影響の記録 回転テーブル上で被験者が頭部を傾斜した時(コリオリ刺激)、誘発される眼球運動を記録するために、赤外線CCDビデオ・カメラを頭部に固定する装置を作成した。本装置により、被験者が速い速度で頭部を移動する際の眼球運動を、確実に記録することが可能になった。 3)空間識が起立動作に及ぼす影響の記録 回転テーブル上でコリオリ刺激が起立に及ぼす影響を記録するために、重心動揺計をテーブル上に設置し、回転に影響されずに足圧中心を記録できるアタッチメントを開発した。さらに、回転テーブル上にビデオ・カメラを固定し、頭部傾斜中の身体動揺を記録できるよう工夫した。 4)健康者における記録 上記の装置を用い、健康者数名で最適な回転速度、頭部傾斜方向、傾斜角度を調べた。現在までに、コリオリ刺激で確実に回旋成分の強い眼球運動と重心の移動を、同時に記録することに成功している。これら奇妙な眼球運動と頭部傾斜方向と異なる重心移動は、共に同じ原理で説明可能な事実が判明しつつある。 今後は、検定に耐える対象数で定量的に分析し、空間識が動作制御に占める役割を明らかにしてゆく予定である。
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