研究概要 |
概 要 前年度はモルモットにおける神経血管束の圧迫による聴性脳幹反応(ABR)を検討して実験手技を確立し,神経血管束圧迫が聴神経自体の機能障害と蝸牛血流(CoBF)を減少させることによる内耳循環障害を引き起こすことを立証し,聴神経腫瘍モデルとして検討した.本年度はさらに,蝸牛血流と内耳機能を蝸牛複合活動電位(CAP)の変化を検討し,Carbogen投与の蝸牛血流および蝸牛複合活動電位に及ぼす影響を以下の如く検討した. 1.モルモットを用いて,その内耳道神経血管束を圧迫した際の蝸牛血流(CoBF)と蝸牛複合活動電位(CAP)の変化を検討することにより,以下の結果を得た. 1)圧迫により蝸牛血流(CoBF)は減少し,一定量の減少で蝸牛複合活動電位(CAP)のN1波は消失した. 2)圧迫で消失したN1波は,20分以内では圧迫解除による血流再開で部分的ながら回復可能であった. 3)N1波の回復は消失時にも蝸牛血流が部分的に残存していた群では,完全に血流遮断された例に比べて,N1波の回復は良好であった. 2.モルモットを用いて,Carbogenの投与による蝸牛血流の変化と,内耳道神経血管束を圧迫した際の聴性脳幹反応(ABR)と蝸牛血流(CoBF)の変化に及ぼす効果を検討し,以下の要点を得た. 1)正常モルモットへのCarbogen投与により全身血圧と蝸牛血流の増加がみられた. 2)蝸牛虚血による蝸電図CAPの変化に対し,Carbogenは保護作用が認められた. 3)短時間蝸牛虚血後の蝸電図CAPの回復にCarbogen投与は改善効果が認められた.
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