研究概要 |
本年度は当教室の頭頚部悪性腫瘍70例と中国審陽市にある中国医科大学より供与された頭頚部悪性腫瘍42例,計114例についてEBウイルス核抗原(EBER)RNAの発現を組織切片を用いたin situ hybridyzation法にて検索した.内訳は耳下腺14例(悪性リンパ腫2例,ワルチン腫瘍3例,扁平上皮癌2例,粘液上皮癌4例,その他3例),鼻腔17例(悪性リンパ腫5例,未分化扁平上皮癌12例),副鼻腔扁平上皮癌18例,扁桃7例(扁平上皮癌2例,悪性リンパ腫5例)上咽頭癌52例,頚部と喉頭悪性リンパ腫がそれぞれ2例と1例であった.耳下腺,副鼻腔,扁桃原発のいずれの症例にはEBER陽性例は認めなかった.しかし,中国の鼻腔原発悪性リンパ腫4例全例にEBERの発現を認めた.また,上咽頭癌では当教室の症例35例中15例(43%)がEBER陽性であったのに対し,中国の症例では17例全例にEBERの発現を認めた.以上より,頭頚部悪性腫瘍におけるEBウイルスの関連性には組織型や原発部位だけでなく,人種や地域性によって異なる可能性が考えられた.
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