研究概要 |
本年度は鼻副鼻腔原発の悪性リンパ腫39例におけるEBウイルスの検出と細胞型,病理組織型および臨床像との関連性について検討した.EBVの関連性についてはEBER1の発現を指標にin situ hybridization法にて検討した.細胞型はMT1,CD45RO,L26,CD56の発現を免疫組織学的に同定した.組織学的には多形性浸潤を示す型(polymorphic reticulosis:PR)と多形性を示さない型(ordinary non-Hodgkin's lymphoma:NHL)に分類した.臨床的には局所所見上,浸潤破壊性病変の程度を-,1+,2+の3段階に分けて検討した.その結果,表面形質的にはB細胞型(L26+)9例、T細胞型(MT1+CD56-)が6例,T/NK細胞型(MT1+CD56+)20例,NK細胞型(MT1-CD56+)2例であった.組織学的には22例がNHL,17例がPRに分類された.浸潤破壊性病変は2+が15例,1+が6例で,-が18例であった.EBER1はCD56+の全例(うち14例はPR,8例はNHL)と2例のCD56-PR,計24例に検出された.EBER+24例中,鼻腔原発が23例,B症状+が15例,浸潤破壊性病変を有する例が18例あった.細胞型または組織型およびEBVの有無による完全緩解率や生存率の有意な変化は認めなかったが,著明な浸潤破壊性病変を有した例では予後が極めて不良であった
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