研究課題/領域番号 |
08671979
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中井 義明 大阪市立大学, 医学部, 教授 (10046998)
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研究分担者 |
井口 広義 大阪市立大学, 医学部, 助手 (70271195)
小西 一夫 大阪市立大学, 医学部, 講師 (50145801)
大橋 淑宏 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60160602)
山根 英雄 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60145787)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 内耳 / 再生 / フリーラジカル / 細胞死 / アポトーシス / グルタメート / トリパンブルー / 一酸化窒素 |
研究概要 |
種々の負荷を与えて内耳感覚細胞障害を惹起させた鳥類内耳を組織培養に供し、その後の内耳感覚細胞の再生機転を観察した。その結果、音響外傷にて損傷を受けた内耳感覚細胞は血清添加培地、MGF添加培地にては再生しえたがこれらを含まない培地では再生しなかった。また、コラゲナーゼ処理にて障害をうけた内耳感覚細胞は血清添加培地、MGF添加培地血でも再生しなかった。これらの事実は感覚細胞の再生には、血清に存在する液性因子や細胞外マトリックスの存在が必要なことを示唆している。モルモットにカナマイシン投与による内耳障害を惹起させ、内耳障害とフリーラジカルの関係を検討したところ、外有毛細胞障害にフリーラジカルが関与していることが判明した。またこのフリーラジカル発生はカナマイシンの内耳移行と密接に関係していた。これらの事実は今後アミノ配糖体内耳障害を考える上で、フリーラジカルの関与を明確にしたものである。トリパンブルーを用い、色素排泄能の変化を観察することにより、蝸牛組織の感覚細胞死を細胞レベルをもって評価する方法を考案した。この方法は従来の方法に比較して簡便で、かつ精確に内耳有毛細胞の変化を観察することが出来る方法であり、基礎的手技として今後大いに利用されるものと思われる。一酸化窒素(NO)の誘導体であるNOC-5を用いて、NOが内耳蝸牛有毛細胞に与える影響を検討した。その結果、NOは内耳の内・外有毛細胞に高濃度でネクローシスを、低濃度でアポトーシスを惹起せしめることが判明した。一方、NOを放出した後のNOC-5の分解産物もin vitroの実験で内耳感覚細胞にネクローシスを惹起させることが出来、NO供与体としてNOC-5を使用するときは注意が必要であることを証明した。OK-432(ピシバニール)を内耳に留置することにより、留置早期より内耳にかなり選択的にマクロファージを誘導させることが出来た。この事実は内耳感染に対し、Biological response modifierの有用性を示唆するものと考える。アミノ配糖体の一つであるストレプトマイシンは、時間依存性に前庭感覚細胞にアポトーシスを惹起させることが判明した。アポトーシスにはそれを誘導する蛋白の合成が必要である。蛋白合成阻害剤であるサイクロヘキサミドを前投与することによりストレプトマイシンによる前庭感覚細胞の アポトーシスを抑制することが出来た。 グルタメートの内耳感覚細胞毒性の発現にはNMDAあるいはnon-NMDAれセプターの関与が報告されているが、これらレセプターを介さない蝸牛有毛細胞死の存在が認められた。これは、グルタメートにより感覚細胞のフリーラジカルに対する防御能がおちることによるものである。
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