研究課題/領域番号 |
08671980
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
木村 貴昭 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (20211203)
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研究分担者 |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
九鬼 清典 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40169975)
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キーワード | 滲出性中耳炎 / PCR / H. influenzae / M. catarrhalis / A. otitis |
研究概要 |
滲出性中耳炎は、近年その増加が問題とされており、細菌感染が重要な要因と考えられるものの抗生剤による治療に抵抗を示すことが多い。従って、その病態を解明する上で細菌学的検討はその治療法、予後を判定する上で極めて重要といえる。PCR法は標的とする遺伝子を増幅することにより、高感度、高特異性を有する分子生物学的手法であり、耳鼻咽喉科領域においてもその有用性が期待される。我々は59例の滲出性中耳炎患者中耳貯留液を用い、PCR法によるHaemophilus influenzae、Moraxella catarrhalisの検出を行った。結果、中耳貯留液の67%にH. influenzaeが、26%にM. catarrhalissが検出された。この検出率は、従来の細菌培養による検出率に比較してはるかに高いものであった。また中耳貯留液より分離された新種細菌であるAlloiococcus otitisの検出を行った結果、約5%の中耳貯留液中にA. otitisが検出された。さらにPCR法による細菌検出と中耳貯留液の肉眼的性状につき比較検討したところ、mucoid貯留液においてserous貯留液に比較して優位に高くこれらの細菌が検出された。臨床経過との比較検討では、頻回の鼓膜切開を要した難治例においてPCR法にてHaemophilus influenzae、Moraxella catarrhalisが効率に検出された。以上のことより滲出性中耳炎には従来の細菌培養法による報告以上に、細菌感染がその病態に関係していることが示唆された。 現在さらに鼻咽腔におけるH. influenzaeの検出にも応用、中耳貯留液内の抗H. influenzae菌特異的抗体価と比較検討中である。
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