研究概要 |
はじめに:本年度は頭頸部扁平上皮癌培養細胞(SCCHN)にIL-2遺伝子をretroviral vectorを用いて導入し、そのIL-2遺伝子導入SCCHNの免疫特性とnude mouse内での腫瘍増殖を検討した。 方法:SCCHNにretroviral DFG-hlL-2-NeoR vector(9.95kb)を用いて、IL-2遺伝子導入を試み、細胞上清中のサイトカイン産生能(IL-1β,IL-2,IL-4,IL-6,IL-12,TNF-α,GM-CSF)また、IL-2の産生をELISAにて1年間に渡って測定した。また上清と培養疫を1:1にて末梢単核球と3日間培養し、その表面マーカーの変化をFACScanにて検索した。また、IL-2遺伝子導入SCCHNの増殖変化を知るために、VTR連続記録を行い、細胞分裂の様子を観察した。 さらにIL-2遺伝子導入したSCCHNと親株細胞をnude mouseの皮下に注入し増殖を観察した。 結果:IL-2産生遺伝子を導入されたSCCHNは1年間に渡ってその上清中にIL-2が測定された。一方、通常認められるIL-6の産生がpalental cellより低下していた。その他のサイトカイン産生は認められなかった。単核球の表面マーカーの変化では、HLA classII,IL-2 recepterのα,β,γのすべてが新鮮細胞に比べその表質の上昇を認めた。nude mouseモデルでは、親株は時間依存性に皮下腫瘍を形成したが、IL-2遺伝子導入細胞では短期間に腫瘍は完全消失した。以上の結果より、IL-2産生遺伝子を導入されたSCCHNより産生される物質は、免疫エフェクター細胞の活性化を促することがin vitroおよびin vivoにおいて証明された。以上の結果は第16回耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会にて報告し、現在投稿準備中である。
|