研究概要 |
昨年我々は頭頸部扁平上皮癌培養細胞(SCCHN)に対するNKおよびIL-2活性化NK細胞の効果とIL-2遺伝子をSCCHNに導入しin vivoおよび石in vitroでの変化を観察報告した。(方法) 末梢血より分離された単核球より抗体法にて得られたNK細胞と、これにIL-2(6,000IU/ml)を加え2週間培養し活性化したIL-2 activated NK(A-NK)のSCCHNに対する抗腫瘍性を、4時間クロム遊離試験にて測定した。SCCHNにretroviral DFG-hIL-2-NeoR vector(9.95kb)を用いてIL-2遺伝子導入を試み、IL-2の産生をELISAにて1年間に亘って測定した。非遺伝子導入細胞とIL-2遺伝子導入細胞の培養上清と末梢血単核球を培養し、その表面抗原の変化を検索した。また、このIL-2遺伝子導入したSCCHNと親株細胞をnude mouseの皮下に注入し増殖を観察した。 (結果) SCCHNに対しNK細胞は細胞障害性を示さなかったが、A-NKは強い細胞障害性を示した。SCCHNは同じ扁平上皮癌から樹立したが、その感受性は個々に異なっていた。IL-2遺伝子を導入されたSCCHNは1年間に亘ってIL-2の分泌が測定された。IL-2遺伝子を導入したSCCHNは非遺伝子導入細胞に比べ、その培養上清がNK細胞とマクロファージを活性化することを観察した。nude mouseモデルでは、親株は時間依存性に28日まで皮下腫瘍を形成したが、IL-2遺伝子導入細胞では8-14日で腫瘍は消失した。 以上より、免疫細胞および活性化された免疫細胞はSCCHNに対してin vivoおよびin vitroでの治療効果が期待できる。SCCHNの免疫学的研究は癌の制御や破壊の解明に重要である。
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