研究概要 |
頭頚部偏平上皮癌培養細胞株(SCCHN)に対する、サイトカインの作用を検索する目的に、Tumor Necrosis Factor α(TNF-α)および Interferon γ(IFN-γ)の細胞増殖抑制効果のin vitroでの観察と、その抑止効果の作用機序の解明をNTT assay法にて検索した。さらに細胞表面の、TNF-αレセプターおよびFas抗原の発現、そしてTUNEL法によるDNAの断片化の観察によるアポートシス細胞の証明をflow cytometryにて観察しアポートシス細胞の存在を証明した。続いてSCCHNに対するNKおよびIL-2活性化NK細胞の効果とIL-2遺伝子をSCCHNに導入しin vivoおよびin vitroでの変化を観察した。SCCHNに対しNK細胞は細胞障害性を示さなかったが、A-NKは強い細胞障害性を示した。SCCHNは8症例の偏平上皮癌から樹立したが、その感受性は個々に異なっていた。IL-2遺伝子を導入されたSCCHNは1年間に亘ってIL-2の分泌が測定された。IL-2遺伝子を導入したSCCHNは非遺伝子導入細胞に比べ、その培養上清がNK細胞とマクロファージを活性化することをFACScanを用いた表面分子の検索で観察した。nude mouseモデルでは、親株は時間依存性に28日まえ皮下腫瘍を形成したが、IL-2遺伝子導入細胞では8-14日で腫瘍は消失した。また、SCCHNの表面分子をFACScanにて観察した。個々の細胞によってMHCclassIの発現と予後に関連が認められたが、class II, ICAM-I等の接着分子の発現には相関は認められなかった。 以上の研究成果を、日本耳鼻咽喉科学会総会、日本頭頚部腫瘍学会総会、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会にて講演し、TNF-αおよびIFN-γのSCCHNに対する細胞増殖抑制効果はANTI-PROLIFERATIVE AND APOPTOTIC EFFECTS OF TUMOR NECROSIS FACTOR α(TNF-α)AND INTERFERONγ ON CELL FROM SQUAMOUS CELL CARCINOMA OF THE HEAD AND NECK. Dokkyo J. Med. Sci. また、SCCHNに対するNKおよびIL-2活性化NK細胞の効果とIL-2遺伝子をSCCHNに導入しin vivoおよびin vitroでの変化を観察した。これらをEffects of immune cells against spuamous cell carcinoma cell lines of tha head and neck(SCCHN), and IL-2gene transduction into SCCHN. 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会雑誌に掲載されたが、SCCHNの表面分子の観察はFACSCAN ANALYSIS OS CELL SURFACE ANTIGENS OF SQUAMOUS CELL CARCINOMA OF THE HEAD AND NECK CELL LINES. として現在投稿中である。
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