研究課題/領域番号 |
08671983
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
廣瀬 肇 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80010031)
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研究分担者 |
小池 三奈子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50276177)
平山 方俊 北里大学, 医学部, 講師 (00208860)
小林 範子 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30195797)
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キーワード | 食道発声 / 構音運動 / 聴取実験 / エレクトロパラトグラフィ / 摩擦音 / 舌・口蓋接触パタン |
研究概要 |
本年度はまず食道発声者の構音機能の特徴を知るために、食道発声習熟度の異なる複数の症例に単音節を発話させ、その録音サンプルについて聴取実験によって各音節の同定試験を施行した。その結果、母音、半母音においてはいずれの例でも高い正答率を示したが無声破裂音や「ハ」行音では習熟度の高い症例においても比較的正答率が低かった。摩擦音については習熟度の低い症例の正答率がきわめて低い傾向が認められ、構音動態の異常が示唆された。食道発声者における構音動態をさらに詳細に検討するために、正常成人および食道発声者(とくに習熟度の高い症例)のパタトプレートを作製し、エレクトロパラトグラフィの手法を応用して舌・口蓋接触パタンの記録と解析を行った。これに先だって接触パタンと接触時間に関するデータを計算機上で処理するプログラムを開発した。このプログラムによってパラトグラム上で前方から後方に4分割した各分画ごとに接触の時間経過が明瞭に観察できるようになった。解析の結果、摩擦音の発話において正常人と比較して食道発声者においては各分画とも接触率が有意に高いことが明らかになった。とくに「ハ」の発音においては正常人にみられない側方接触が認められた。これらは少ない空気量で有効な摩擦成分を作るための代償機能の現れと解釈された。この知見は食道発声者の構音リハビリテーションにおける指導方針に示唆を与えるものと考えられた。また食道発声者において発話に先行して正常人にみられない舌・口蓋接触が観察され、空気の取り込みに関連するものと推論された。
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