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1998 年度 実績報告書

唾液分泌障害をきたす唾液腺疾患の免疫組織化学的並びに微細形態学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08671986
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

吉原 俊雄  東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (90220714)

研究分担者 佐藤 美知子  東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20266802)
キーワード耳下腺 / 腺房細胞癌 / 分泌顆粒 / 胎生期耳下腺 / 電子顕微鏡
研究概要

唾液腺low gradeの悪性腫瘍である腺房細胞癌は、その名称のごとく正常の唾液腺腺房細胞に類似していることに起因する。本研究では腺房細胞癌の細胞内分泌顆粒の形態、組織化学的特徴について電顕的に検討し、正常耳下線および胎生耳下線の分泌顆粒の発生と共に比較検討した。正常成人耳下線腺房細胞には分泌顆粒が豊富に含まれており、電顕的に高電子密度の芯を有する二相性顆粒が特徴である。一方、腺房細胞癌では分泌顆粒を有する細胞と顆粒は少なくミトコンドリア、粗面小胞体の多い細胞がみられる。分泌顆粒を含む細胞では正常細胞でみられる分泌顆粒内の芯はほとんど認められず、正常顆粒辺縁部に類似する電子密度均一の顆粒か特徴である。正常成人の腺房細胞は抗アミラーゼ抗体免疫染色で陽性所見を呈するが、腺房細胞癌では症例によりアミラーゼの染色性即ち産生の有無は異なっていた。胎生期耳下腺のうち胎生16週では間葉系組織内に未分化な細胞塊と管腔を有する細胞群がみられ、細胞内にグリコーゲン顆粒と分泌顆粒がごく少数散在している。週齢が進むにつれこれらの分泌顆粒の数は増加してくる。胎生20週ぐらいまでの分泌顆粒内には成人で存在する芯は認めず、腺房細胞癌のそれに類似していた。胎生24週では細胞頂部に顆粒が増え、成人腺房細胞に類似してくる。酸性ムコ多糖を示すPAM染色では成人分泌顆粒の芯は染色されず辺縁部が陽性である。一方、腺房細胞癌と胎生期20週以前の顆粒ではPAMの染色性は類似していた。コロイド標識レクチン染色ではPAM染色と同様顆粒全体に陽性像を示し、腺房細胞癌と胎生期耳下腺の染色性は類似していた。これらの結果より腺房細胞癌は未分化な細胞より腺房細胞への正常な分化を行えず腫瘍化したものかあるいは腺房細胞の腫瘍化即ち脱分化により胎児に類似した顆粒を形成するものと考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 吉原俊雄: "唾液腺手術" 消化器外科. 21. 676-678 (1998)

  • [文献書誌] 吉原俊雄: "小児耳下腺部腫脹を来す疾患" 小児耳鼻咽喉科. 19・1. 56-58 (1998)

  • [文献書誌] 吉原俊雄: "老年者の唾液分泌障害" 老化と疾患. 11・10. 83-85 (1998)

  • [文献書誌] 吉原俊雄: "唾液腺腫瘍の超微構造" 日本唾液腺学会誌. 39. 1-10 (1998)

  • [文献書誌] 吉原俊雄: "耳下腺未分化癌(small cell carcinoma)の1例" 日本唾液腺学会誌. 39. 25-26 (1998)

  • [文献書誌] 吉原俊雄: "耳下腺腺房細胞癌および胎生耳下腺分泌顆粒の電顕組織化学的検討" 日本唾液腺学会誌. 39. 74-76 (1998)

  • [文献書誌] 吉原俊雄: "口腔咽頭の臨床" 医学書院,東京, 179 (1998)

  • [文献書誌] 吉原俊雄: "神経耳科学" 金芳堂,京都, 274 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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