研究課題/領域番号 |
08671993
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
久保 伸夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (70186435)
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研究分担者 |
中村 晶彦 関西医科大学, 医学部, 講師 (90180356)
北尻 雅則 関西医科大学, 医学部, 講師 (60161478)
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キーワード | 呼気ガス / 一酸化窒素 / 慢性副鼻腔炎 / 室内汚染 / 窒素酸化物 / 鼻粘膜血管内皮細胞 |
研究概要 |
NO測定装置Sievers 280、信号遅延装置、AVコンバータ-(マックラボ)を介しコンピュータに出力し、既有のスパイログラフィーからの入力を同時測定し、呼気中NO濃度と呼気量からNO時分散生量(V'_<NO>)を同時測定できるようにした。このシステムによって、呼気ガス中のNO産生量を測定した。本年度の検討では、以下の新しい知見が得られた。1)咽頭全摘出後患者における検討では、下気道におけるNO産生量は上気道の1/10程度である、2)慢性副鼻腔炎患者でのNO産生量は正常者の1/2程度である。3)アレルギー性鼻炎患者でのNO産生量は正常者と同程度である、4)アレルギー性鼻炎患者では抗原誘発によってNO産生量が一過性に増加した、5)喫煙者でのNO産生量は非喫煙者に較べ有意に減少していた、6)片側下鼻甲介粘膜切除患者では、切除側でのNO濃度は非切除側の1/10程度に低下した、7)片側Caldwell Luc手術後の患者では、手術側と非手術側のNO濃度に差はなかった。 さらに、呼気中NO産生量に大きな影響を及ぼす室内のNOおよびNOX濃度に関しても検討した。現在の時点では、1)NOXに関しては、室内での炊事や喫煙によって、気道粘膜障害をきたすといわれている3ppm(環境基準の100倍)まで容易に上昇すること、2)ディーゼルエンジン搭載車では運転席においてもNOXは著しく増加していること、3)NOは喫煙によって200倍程度まで容易に増加することなどが明らかになった。わが国では室内の窒素酸化物汚染に関する検討がほとんど行われておらず、今回の検討が始めてのものと思われる。 平成9年度には、以上の知見を発表し、さらに、呼気中NOに関しては、その産生細胞を明らかにすることと、生理的作用(線毛運動におよぼす作用、下気道拡張作用)を検討したい。また、室内の窒素酸化物汚染に関してはNOX除去装置の効果を検討したい。
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