研究計画に従って以下のように研究を遂行し、計画を達成できた。1)平成8年度:高齢者の語音弁別能力低下の原因の一つである時間分解能の劣化を検査するシステムを作成した。まず、語音弁別における発話速度の影響を調べるのに適した語表を作成した。この語表に基づいて4種類の話速の音声資料を作成した。本音声資料を用いて聴力正常者に対して聴取実験を行い話速変換語音聴力検査の特性を明らかにした。2)平成9年度:作成した検査システムを用いて、聴覚障害者を対象にデジタル信号処理音声が語音弁別にとって有用かどうかを検討した。その結果、語音聴力検査に時間的要因を取り入れることにより、従来の語音聴力検査では判定できなかった信号処理の適合性が判定できた。また、デジタル信号処理によるコンプレッションが線形増幅より優れていることが示唆された。3)平成10年度:高齢の聴覚障害者を対象に、2種類のデジタルコンプレッションを組み入れた補聴器を本システムで評価した結果、個々の難聴者の信号処理法を選択するのに本システムの有用性が示された。
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