内耳血管条Na-K ATPaseからみた内リンパ水腫の発生機序

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08671998
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 兵庫医科大学
• 研究代表者: 加納 直行 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (20152829)
• キーワード: 内リンパ水腫 / メニエール病 / 酵素組織化学 / K-NPPase / Na-K ATPase

研究概要

メニエール病(内リンパ水腫)の発症には従来自律神経の異常や精神的ストレスが重要な役割を持つといわれている。そこで、これらと内耳の関連を解明するために内耳液産生に関与している血管条Na-K ATPase活性とカテコールアミンとの関係について酵素組織化学法で検討してきた。昨年、レセルピン、アドレナリンについて治験を得、今年度は、これらの成果を米国や日本の国際学会で報告するとともに、論文とした。また、今年度はカテコールアミンのうちのセロトニンについても実験を追加した。この結果、ノルアドレナリンと同じようにレセルピンで低下した血管条Na-K ATPase活性を正常化させることがわかり、これについても米国の国際学会で報告した。また、以上の内耳血管条Na-K ATPaseの結果について顔面神経のNa-K ATPase活性についても同様な実験を行い、比較検討を行った。顔面神経のNa-K ATPase活性はレセルピン投与によっても低下しない部分もあることがわかり、これが神経伝達には重要な働きをもつ場所であることも判明した。X-Ray microanalyzer法では正常動物について実験を行った。この結果は以前報告されたAnniko等の報告と相違が見られ現在検討中である。

研究成果

• [文献書誌] Kanoh N: "Impaired Ranvier Node Sodium-Potassium Adenosine Triphosphatase May Induced Facial Palsy." Laryngoscope. 106. 1180-1183 (1996)
• [文献書誌] Kanoh N: "Cytochemical effects of in vitro dopamine treatment on the Na-K ATPase activity in strial-marginal cells" Acta Otolaryngol (Stockh). 116. 824-827 (1996)
• [文献書誌] Kanoh N: "Cytochemical localization of ouabain-sensitive,p-nitrophenylphosphatase activity in the facial nerve of reserpinized guinea pigs" Proc Sendai Ear Symposium. 6. 33-35 (1996)
• [文献書誌] Kanoh N: "Serotonin decreases the Na-K ATPase activity of strial marginal cells." Association For Research In Otolaryngology. 136- (1996)
• [文献書誌] Kanoh N: "Isatin(2,3-dioxoindole) decreases the Na-K ATPase activity of strial marginal cells." Association For Research In Otolaryngology. 136- (1996)
• [文献書誌] 加納直行: "顔面神経Na-K ATPase活性とカテコールアミン" 頭頚部自律神経. 1. 24-26 (1996)