(1)従来報告されているように、免疫抑制剤の投与を行わなくとも、網膜移植術後に拒絶反応が惹起されることはなく、網膜変性マウスの網膜下にトランスジェニックマウスの網膜が生着することが確認された。 (2)しかしながら、移植した幼若網膜が分化・成長するにあたり、本来の極性、すなわち視細胞外節が眼球の外方に向かって配列する状態を得ることは必ずしも容易ではなく、むしろその様な状態が得られる確率はきわめて低く、移植手技に改良が必要であることが判明した。 (3)移植片の大きさを変えるなどの試みも行ったが、結果に改善は見られず、当初予定していた高次ニューロンとの結合状態等を調べる形態学的研究や、電気生理学的研究は今後の課題となった。 (4)網膜変性マウスの電気生理学的研究を行うにあたっての比較資料とするため、ヒトにおける各種網膜変性疾患の臨床例を対象に、網膜電図を用いて電気生理学的研究を行い、多くの新知見を得、それらの結果を論文として発表した。
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