研究概要 |
1.視細胞外節由来のリポフスチンの組成分析の研究の為に,ブタ網膜ホモジェネートを鉄イオンとincubationを行うことにより,視細胞外節由来の不飽和脂肪酸からの脂質過酸化物を形成させて,これが分解して生じたアルデヒドはアルブミンと結合することにより蛍光物質を生成する実験系を用いた.これはリポフスチンの生成機序から化学的組成を反映するものと思われる.このin vitroのリポフスチンのモデルを使って,種々の化学的分析研究を行った.1)網膜ホモジェネートをアルブミンとFeSO_4と0-24時間incubationすることにより,初期に著名なアルデヒド形成のピークがあり,その後,徐々に減少して,24時間後にはbase lineまで戻った.一方,脂質過酸化を表すTBARSは初期より増加してその後も高値を示した.蛍光強度は24時間後まで徐々に増加していたった. 2)アルデヒド(HNE)をアルブミンとincubationすることによっても経時的に蛍光物質を形成することが出来た.蛍光スペクトル分析により網膜ホモジェネートと鉄及びアルブミンによって出来る蛍光スペクトルは不飽和アルデヒドであるHNEおよびhexenalとアルブミンとの結合物と同様のスペクトルを示すことが分かった.このことは1)での蛍光物質は網膜の過酸化反応によって出来たアルデヒドがアルブミンとの結合により生じたものであることを裏付けている. 3)グルタチオンはアルデヒドを抱合することにより実験系で蛍光物質を抑制した. 2.塩化鉄による過酸化をさせた視細胞外節を培養網膜色素上皮(ウシ)に貧食させた時リポフスチン様蛍光物質は未処理の視細胞外節より著名であった. 視細胞外節由来おリポフスチン様蛍光物質は脂質過酸化物が分解して生じた不飽和アルデヒドが深く関与していることが分かった.
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