研究概要 |
平成8年度から平成9年度までに、我々は以下の知見を得ることができた。 <脈絡膜新生血管モデルの作製> 1,有色ラット眼底に、半導体レーザー光凝固を行い、蛍光眼底造影検査上51.2%に脈絡膜新生血管と考えられる過蛍光像を認め、組織学的には100%において脈絡膜新生血管を作製可能であった。 2,実験的脈絡膜新生血管は、光凝固2週間で完成され、脈絡膜毛細血管に特徴的なfenestrationを示していた。組織学的に、それら脈絡膜新生血管は網膜色素上皮細胞増殖により囲いこまれており、色素上皮下血管の形態をとっていた。 <薬剤全身投与の有効性・安全性の評価> 3,サリドマイド腹腔内投与群、dimethyl sulfoxide(DMSO)投与群、生理食塩水投与群において、蛍光眼底造影検査上それぞれ37.3%、41.8%、51.2%に脈絡膜新生血管を認め、サリドマイド投与群において新生血管抑制傾向が認められたが、統計学的有意差は認めなかった。 4,サリドマイド投与群において組織学的に毒性を疑わせる所見は認められなかった。 5,網膜電図(ERG)検査において、薬剤の全身投与前後で明らかな差は認められなかった。 上記のラット眼を用いた結果をもとに、よりヒト眼に類似しているサル眼で脈絡膜新生血管モデルを作製し、サリドマイド全身投与の有効性・安全性を検討中である。またドラッグデリバリーシステムや網膜下腔への薬物の直接投与による有効性についても全身投与と比較して検討中である。 以上を下記学会にて発表した。 ARVO 1996.4.21-26 Fort Lauderdale,USA Invest Ophthalmol Vis Sci.1996;37(Suppl):S115. 第100回 日本眼科学会総会
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