研究概要 |
申請者の一貫した研究目的は、眼の潅流実験,毛様体筋の電気生理的方法および培養細胞の組織化学的研究を併せ、房水流出率を向上させる方法を見いだすことである。本年度は内眼手術や外傷に関係したprostaglandins(PGs)や交感神経作動薬を主として調べた. 方法として一定圧または一定流量で眼内に潅流液を送り込み、定常状態が得られたときの房水流出率をin vitroで調べた。内眼手術に関連したPGsや交感神経作動薬(dobutamine,salbutamol等)をウシ眼でスクリーニングした. 結果および今年度のまとめ PGs:それぞれの内眼筋は以前報告のようにPGに僅かに反応した.また流出率への影響も、PGs単独投与ではわずかであった。ところが、indomethacinで処理しておくとD2以外のPGsは強力な効果を内眼筋と房水流出率に示した。 交感神経作動薬:10^<-3>Mではdobutamineは3時間以内に、isopro terenolは6時間で細胞を収縮させた。Epinephrineやisopro terenolは10^<-3>Mの高濃度でも房水流出率を上げず,潅流3時間でdobutamine(10^<-6>,10^<-5>,10^<-4>M)による流出率は各々対照の、97.3±6.8,80.8±5.9,83.5±4.7%になった。なお,高濃度でもsalbut amolでは隅角内皮細胞や房水流出率は変化しなかった。 交感神経作動薬の下で見られた隅角内皮細胞の細胞形態や房水流出率の変化はcAMPを介した反応であるかもしれない。しかしながらcGMP濃度を上昇させるzaprinastが強力な効果を示したこと(研究継続中)からcAMPとは別の経路も研究すべきであることがわかった。 来年度はPGsやphosphodiesterase抑制薬等のこの方面の仕事をさらに続けたい.
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