透過性の経時変化 正常眼では、horseradish-peroxidase(H.R.P.)の眼球表面の血管周囲組織への透過はほとんど認められなかった。角膜への機械的刺激直後から、6時間をピークに血管周囲組織へのH.R.P.の浸潤を認め、血管透過性の亢進が推測された。 組織学的検討および電子顕微鏡的観察 光学顕微鏡および正常組織では、角膜輪部およびテノン嚢に少数の組織球を認めるのみであった。hematoxylin-eosine染色による光学顕微鏡所見および電子顕微鏡的観察において処置後15分後から多核白血球のテノン嚢への浸潤を認めた。さらに3時間ないし6時間後には角膜表面の機械的刺激部位にフィブリンおよび多核白血球の浸潤を認め、一部の多核白血球の角膜実質内への湿潤が観察された。機械的刺激により遊走してきた多核白血球が、創傷治癒に関与していることが示唆された。 Alcian-blue染色においては、機械的刺激後1時間後から染色性が亢進し、1週間後まで亢進が認められた。それ以後は染色性の亢進は認められなかった。機械的刺激により、受傷後早期から細胞外マトリックスの構成成分が影響を受けることが示唆された。
|