研究概要 |
落屑症候群は高齢者の水晶体前面あるいは虹彩の瞳孔緑にフケ様の落屑物質が付着し、高頻度に緑内障を合併する疾患である。緑内障眼には乳頭周囲に網脈絡腺萎縮が高頻度に観察される。この乳頭周囲網脈絡膜萎縮の発生原因を調べる目的で組織学的検討および造影検査での検討を行い、脈絡循環の障害が原因であることを見い出した(Kubota T.et al.: Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmol 1996,中村ら:あたらしい眼科1996)。 落屑物質が認められる眼では前房内蛋白濃度の上昇や、血液房水関門の破綻が報告されている。本研究の一環として老人性円板状黄斑変性症眼のフレア-値をレーザーフレア-セルメーター(興和社)を用いて測定し正常眼に比較して有為に高く、網膜下新生血管の面積と相関があることがわかった(Kubota T.et al.:Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmol 1996)。 落屑物質の起源を調べる目的で正常人の虹彩が加齢変化を観察し、上皮細胞基底膜の加齢変化と落屑症候群が密接な関係があることを見いだした(Khalil et al.,Arch Ophthalmol 1996)。免疫組織化学を使用しHNK-1 epitopeが落屑物質の形成に関与していることを電子顕微鏡で確認した(Kubota T.et al.: Curr Eye Res 1997)。
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