落屑症候群は高齢者の水晶体前面あるいは虹彩の瞳孔縁にフケ様の落屑物質が沈着し、高頻度に緑内障を合併する疾患である。落屑物質の起源についてはまだ不明な点が多い。免疫組織化学の手法を用いて、落屑症候群を持つ眼と正常眼の前眼部におけるHNK-1 carbohydrate epitopeを染め出した。正常前眼部におけるHNK-1 cafbohydrate epitopeの分布および、HNK-1 epitopeが落屑物質の形成に関与していことを電子顕微鏡で世界で初めて明らかにした。また眼内に存在する落屑物質にはHNK-1 cafbohydrate epitopeは陽性に染まるが、眼外に存在する落屑物質にはHNK-1 carbohydrate epitopeは染まらず、眼内と眼外で落屑物質の組成に違いがある可能性が明らかにした(Kubota et al.:Current Eye Research 1997)。 いままでに報告されている落屑症候群患者の眼所見は主に欧米人のものであるが、日本人の落屑症候群患者の眼所見を観察した結果をまとめた。欧米人に比較して虹彩の変化が検出しにくい以外は相違点はなかった。緑内障の有無で眼所見に違いはなかった(Kubota et al.:Amals of Ophthalmology and Glaucoma 1997)。
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