研究課題/領域番号 |
08672024
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
直井 信久 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (50211412)
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研究分担者 |
中馬 秀樹 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (20244204)
岸 厚至 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10260746)
丸岩 太 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (70209691)
中野 徹 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (40274774)
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キーワード | 網膜 / 網膜電図 / 電気生理 |
研究概要 |
本年度の研究は主としてネコを用いて行われた実験である。 STR(scotopic threshold responce)波に関しては全身麻酔下長時間の暗順応の後にSTRを記録することが可能となった。網膜内に微小電極を挿入することにより網膜内の深さに応じたSTRの大きさと極性を調べることができた。その結果STRは内網状層付近の深さで最大となり、網膜中心付近で(深さにして約60%)極性が逆転した。このことからこの点より近位側にcurrent sinkが存在することが推定された。またcurrent sourceはさらに遠位側、内顆粒層付近にあると推定できた。このことは通常の臨床で用いられる網膜電図測定のように硝子体側から測定した場合、STRが陰性の極性を持つことと矛盾しない。このことはb波の極性の逆転が網膜のきわめて近位側でおき、current sourceが網膜のきわめて近位側(網膜-硝子体境界部付近)にあることと対照的である。このことはカリウム選択性電極を用いて網膜内のカリウム変化を記録すればさらに明確になるはずであるが本年度内にはその安定性が悪く明確な結論を得るには至らず、来年度の課題となった。 M波に関してはいくつかの薬理学的手法を用いてM波と硝子体ERGの比較を行った。まずナトリウム依存性活動電位を抑制するTTXを硝子体内に投与するとFrishmanらが記述しているようにM波は変化しないがERGのOff反応は減少することを確認した。APBを投与するとM波のon反応は極性が反転し、この反転した波はaspartateによって消失した。一方ERGのsustained negative respoceはAPBによって変化しなかった。これらの結果から考察するとM波は通常の臨床ERGへの関与は小さいと考えられるが、パターン刺激のように小さい刺激野で刺激する場合などでは臨床網膜電図に関与する可能性が考えられた。M波に関しては本年度は微小電極による実験が施行できなかったので、来年度からの実験が必要である。
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