研究概要 |
ネコを用いた動物実験において大脳皮質の焦点調節関連領域および輻湊領域が上丘の中心視領域に強く投射しており(Maekawa and Ohtsuka,Neurosci.Res.17,315-323,1993)、さらにこの部位の上丘の微小電気刺激により調節応答が得られることを発見した(Sawa and Ohtsuka,Vision Res.34,975-981,1994)。 今回の研究により上丘の焦点調節関連領域は視蓋前域、中脳網様体などに投射しており、これらの領域を介して動眼神経核へ接続する可能性が考えられる(Sato and Ohtsuka,J.Comp.Neurol.367:465-476,1996)。従って、上丘の中心視領域は焦点調節の中枢神経機構のなかで重要な働きをしているものと思われる。さらに、上丘の焦点調節関連領域は同時に急速眼球運動を抑制し、固視を保持する機能を有するといわれるオムニポ-ズニューロン領域に投射することが明らかにされた。上丘の焦点調節関連領域は網膜の中心視野領域および大脳皮質の焦点調節関連領域と輻湊領域から投射を受けていることがわかった(Ohtsuka and Sato,Exp.Brain Res.113:169-173,1997;Ohtsuka and Sato,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.37:1429-1436,1996)。これらの結果は上丘の中心視領域が近視反応の制御に重要な役割をもつ可能性を示している。
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