1.白内障初発混濁部位の測定 気象条件の異なる三地域(北海道、石川、沖縄)における白内障疫学検診データを基に初発白内障症例より、混濁部位の局在を検討した。本調査地域におけるUV-B照射量は北海道:11.2kJ/m^2、石川:14.8kJ/m^2、沖縄:21.9kJ/m^2の順であった。白内障初発混濁部位は地域差を認め、水晶体の上/下・耳側/鼻側の4象限で比較すると、沖縄は鼻側、石川では下方が他の象限に比較して有意に混濁出現頻度が高かった。一方、北海道では特に混濁発症の好発部位は認めなかった。 2.マネキン眼表面に装着した紫外線線量測定装置の試作 日本人の肌の色合いと骨格を有したマネキンに4×4mmの紫外線センサー(感度領域260-400nm)を頭部および眼部周辺(計18測定点)に設置し、頭部の傾き、方位を感受し、記録できるマネキン型紫外線センサーを試作した。本装置による眼局所での紫外線量測定の結果、鼻側角膜表面上の紫外線被曝は最も低く、反対に頭頂部、顔面中央、頬骨の頂点は最も紫外線被曝量が高かった。耳側の角膜表面上も比較的高い紫外線被曝量を示した。 3.眼鏡装用による紫外線被曝軽減効果 マネキン型紫外線センサーを用い、眼鏡装用による紫外線被曝軽減の有無を検討した。眼球中央から鼻側にかけて5%前後の紫外線被曝軽減効果が見られたが、耳側では、この軽減効果は殆ど見られなかった。 4.紫外線吸収コンタクトレンズ装用による眼紫外線被曝軽減効果 家兎に紫外線吸収コンタクトレンズを片眼のみに装用し、67mJ/cm^2の紫外線を繰り返し照射した結果、コンタクトレンズ非装用眼では角膜上皮・内皮細胞障害、角膜浮腫が観察されたのに対して、コンタクトレンズ装用眼ではこの変化が抑制されていた。
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