研究課題/領域番号 |
08672043
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
緒方 奈保子 関西医科大学, 医学部, 講師 (60204062)
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研究分担者 |
松島 正史 関西医科大学, 医学部, 助手 (00192336)
西村 哲哉 関西医科大学, 医学部, 助教授 (30156111)
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キーワード | 脈絡膜血管新生 / bFGF / TGFβ / VEGF |
研究概要 |
1.ラット網膜に強いレーザー凝固を行い、実験的脈絡膜新生血管発生モデルを作成した。3日、1週、2週、4週に眼球摘出し、組織切片を作成した。 2.組織切片上でRNAプローブとハイブリダイゼーションを行うin situ hybridization法で、組織における細胞成長因子mRNAの発現と、形態学的変化の関連を分子生物学的に検討した。 3.basic fibroblast growth factor(bFGF)、およびその受容体FGFreceptor 1の発現を検討したところ、光凝固後3日、凝固部に強い発現が見られ、網膜色素上皮細胞、血管内皮細胞、macrophageに発現していた。その後、発現は限局し、2週後には新生血管内皮細胞及びその周囲の細胞に強く見られるようになった。bFGFとFGFreceptor 1mRNAの発現はほぼ同様で、bFGFが、脈絡膜血管新生の過程で網膜色素上皮細胞、血管内皮細胞にautocrine的およびparacrine的に作用していることが明らかとなった。 4.transforming grawth factor beta(TGFβ)-1、-2、-3の発現をin situ hybridizationで検討した。 5.光凝固後、TGFβ-2mRNAの発現が主にみられた。光凝固後3日、凝固部に強い発現が見られ、網膜色素上皮細胞、血管内皮細胞に発現していた。2週後には新生血管内皮細胞に発現していた。このことから、In vivoでは、TGFβ-2が脈絡膜血管新生の過程で網膜色素上皮細胞、血管内皮細胞から産生され、作用していることが明らかとなった。 6.vascular endothelial growth factor(VEGF)の発現を検討した。免疫組織学的方法で、光凝固後3日、凝固部に強い発現が見られ、組織よりRNAを抽出し、RT-PCR法で検討したところ、明らかにVEGFの発現が高くなっていた。また、Western blotting法でも検討したところ、蛋白レベルでも発現が上昇していた。二重蛍光抗体法で、このVEGFは主にmacrophageから産生されていることがわかった。 7.以上の様に、実験的脈絡膜新生血管発生過程でサイトカインの働きが血管新生に大きな役割を果していることがわかった。
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