研究概要 |
H病類縁疾患の中でhypoganglionosisとimmature ganglionosis(immatuity of ganglia)について、免疫組織学的に検討を行い、その分類・診断・治療方針について検討を行った。 1. 免疫組織学的検討及びその診断 1) hypoganglionosis(壁内神経減少症) 著しい壁内神経細胞の減少を示し、新生児期ではaganglionosisと誤診されやすい。新生児期では未熟性も強くhypogenesisまたはhypoplasia of gangliaの病態を示す.NSE,S-100,NCAM,Cathepsin D.Peripherin,c-kit等の免疫染色では著しい減少を示す。神経細胞の同定にはCathepsin D.Peripherinは有効で、その減少度、未熟性の判定にも意義がある. 2) immature ganglionosis (壁内神経未熟症) 本症では新生児期で神経細胞の著しい未熟性を示すが、神経細胞の数は十分に存在する.Cathepsin Dは未熟症でもその判定に有効であり、未熟でも明確に神経細胞の存在が確認できる.c-kitは一見増強した様に染色され、hypoganglionsisとは著しく異なったpatternでhypoganglionosisとの鑑別に有用である.数カ月後には神経細胞は成熟化を示し、Cathepsin Dでも成熟化を示した.H病類縁疾患の壁内神経系の神経細胞の減少度、未熟度の判定・診断にCathepsin D.c-kitは有用であった. 2. 治療方針 1) hypoganglionosis:病変範囲は小腸に及ぶ広範囲のことが多い。通常小腸痩を必要とする。根治手術(pull through)できる症例は少ない。早期に根治手術はされるべきでない。小腸痩の機能及び病理組織を十分検討すべきである。 2) immature ganglionosis:通常回腸痩で排便機能が得られ、数カ月後に神経細胞の成熟化が得られ腸痩が閉鎖でき、予後良好である.
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