研究概要 |
aganglionosisではないが新生児期から著しい消化管の運動機能異常を示す疾患、すなわちHirschsprung病類縁疾患について、特にhypoganglionosis症例とimmaturity of ganglia(immature ganglionosis)症例の病態について、病理形態学的及び電気生理学的に検索し、その診断・治療について検討した。 1. 臨床病理学的特徴と診断 両疾患とも(1)新生児期からイレウス症状を示し、(2)Ach-E活性は正常で、(3)注腸所見ではmicrocolon〜small colonを示す。(4)新生児期では直腸肛門内圧検査では陰性を示すことが多いが、乳児期では未熟症では正常化するが、減少症では陰性のままである。(5)meconium disease様形態を示すことが多い。 2. 両疾患の病理組織学的所見と予後 1) hypoganglionosis(壁内神経細胞減少症) 著しい神経細胞の減少を示し(正常の1/5〜1/10)、新生児期では著しい未熟性を示した。しかし、経時的観察では神経細胞は成熟化を示した。しかし数の増生はなく、神経叢は低形成を示した。hypogenesisは本症の病態とも言える。NSE、S-100、Cathepsin、c-kit等の免疫染色、及びNO染色では著しい減少を示した。病変範囲は大腸以上の広範囲に及びshort segment例はなかった。通常小腸瘻造設を必要とするが、稀に人工肛門で機能するものがある。予後は不良である。 2) immaturity of ganglia(壁内神経細胞未熟症) 腸管切除標本の検索では、壁内神経細胞数は十分認めるが、神経細胞は小型で著しい未熟性を示した。病変範囲は小腸に及び、通常回腸瘻で排便機能が得られ、数カ月後には神経細胞の成熟化と共に腸瘻を閉鎖でき良好な予後を示した。 Cathepsin,NO染色では染色性の低下を見るが、腸瘻閉鎖時では正常化した。c-kitは正常patternで新生児ではむしろ増強して見える。hypoganglionosis、immature ganglionosisは新生児の機能性腸閉塞疾患の中で独立した疾患としてのentityに分類されるべきと考える。
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