研究課題/領域番号 |
08672063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
進藤 正信 北海道大学, 歯学部, 助教授 (20162802)
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研究分担者 |
藤永 けい 札幌医科大学, 医学部・附属がん研究所, 名誉教授 (10045338)
戸塚 靖則 北海道大学, 歯学部, 教授 (00109456)
千葉 逸朗 北海道大学, 歯学部, 助手 (50250460)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | E1AF / ets-oncogene / antisense / tumos invarion / p21^<wafl / cipl> |
研究概要 |
E1AFはHigashinoらにより発見されたets-oncogene familyに属する転写因子で、我々は既に、E1AFがマトリックスメタロプロテナーゼ(MMP)の転写を亢進させ、腫瘍細胞の浸潤性増殖に関与していることを報告してきた。 今回、E1AFmRNAを強く発現し、同時にMMPタンパクの発現を示す口腔扁平上皮がん細胞株HSC3にE1AFのアンチセンス発現ヴェクターを導入し、これによる細胞の生物活性の変化について検索した。さらに、実際の口腔扁平上皮がん患者から採取した試料でのE1AFの発現と腫瘍の悪性度との関連とE1AFが活性化するMMP以外の遺伝子について検討を加えた。 1)in vitroにおけるE1AFの発現の制御 アンチセンスE1AF発現ベクターを構築し、遺伝子導入したHSC3 ASは、HSC3細胞に比べMMP-1,-3,-9がmRNAおよび蛋白レベルで制御され、in vitroならびにin vivoで、浸潤能は低下していた。これらの実験結果より、E1AFは複数のMMPの転写を活性化し、腫瘍の浸潤に重要な役割を担っているものと思われた。 2)ヒト口腔がん患者における E1AF発現の検索 北海道大学歯学部附属病院口腔外科にて、口腔扁平上皮がんと診断された27人の患者のE1AFの発現の有無をRT-PCR、Southern blot、in situ hybridizationにより検索し、腫瘍のE1AFの発現の有無と臨床病理学的な性質との比較検討を行った。 E1AFmRNAの発現は27例中15例(55%)に認められ、T1/T2の早期症例では、E1AF陽性例にリンパ節転移が多い傾向がみられ、浸潤性増殖を示す腫瘍においてE1AF発現陽性例が有為に多かった(P<0.04)。 3)E1AFによるp21^<wafl/cipl>の転写亢進 シスプラチンで処理によりp21^<wafl/cipl>とE1AFの相関した発現の亢進が認められた。p21^<wafl/cipl>の転写調節領域のルシフェラーゼアッセイで、E1AFが、細胞周期のinhibitorであるp21^<wafl/cipl>の転写をp53非依存性に直接亢進させることが示された。
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