非腫瘍性唾液腺病変の病理学的研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08672084
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 岩手医科大学
• 研究代表者: 武田 泰典 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (60137536)
• キーワード: 唾液腺 / 排泄管 / 上皮過形成 / メラノサイト / 原発性胆汁性肝硬変症 / 自己免疫 / 偽上皮腫様過形成

研究概要

1:ヒト小唾液腺排泄管の組織構築と上皮過形成について
(1)組織構築:手術材料を用い、ヒト小唾液腺排泄管の組織構築を明らかにした。
日本唾液腺学会誌 38:48-50,1997.J Nihon Univ Sch Dent 39:147-153,1997.
(2)排泄管の上皮過形成:手術材料を用い、ヒト小唾液腺排泄管上皮の化形成所見の詳細を検索した。その結果、様々な型の過形成像がみられ、それらの特徴を記すとともに、組織分類を提唱した。また、これらの病的意義についても考察を加えた。
日本唾液腺学会誌 38:48-50,1997.J Nihon Univ Sch Dent 39:147-153,1997.
2:ヒト唾液腺におけるメラノサイトの出現について
ヒトの諸臓器にまれにメラノサイトのみられることはよく知られているが、唾液腺におけるメラノサイトの存在の報告は未だない。そこでヒト剖検例を用いて検索したところ、耳下腺の腺体外導管上皮にメラノサイトの存在を見出した。この所見の詳細を報告するとともに、その組織由来についても考察を加えた。Pathology International 47:581-583,1997.
3:肝疾患における唾液腺の免疫異常所見について
原発性胆汁性肝硬変症では唾液腺上皮に異常蛋白の発現を認め、その病的意義を考察した。Autoimmunity(in press)
4:唾液腺腫瘍における口腔粘膜上皮の偽上皮腫様過形成について
小唾液腺原発の多形性腺腫を覆う口腔粘膜上皮に高度の偽上皮腫様過形成のみられた2例を報告し、偽上皮腫様過形成について考察した。Pathology Internationa(in press)
5:唾液腺疾患の概説
2冊の著書を出版した。

研究成果

• [文献書誌] 武田 泰典: "ヒト小唾液腺排泄管の病理学的意義:その組織構築,上皮過形成巣ならびに口腔扁平上皮癌との関連について." 日本唾液腺学会誌. 38. 48-50 (1997)
• [文献書誌] 武田 泰典: "口腔扁平上皮癌の進展経路としての小唾液腺排泄管上皮:小唾液腺排泄管上皮への侵襲のみられた口腔扁平上皮癌の2例." 病理と臨床. 16. 213-217 (1998)
• [文献書誌] Takeda,Y.: "Melanocytes in the human parotid gland." Pathology International. 47(8). 581-583 (1997)
• [文献書誌] Takeda,Y., et al.: "Epithelial hyperplasia of the extra-glandular excretory ducts of human minor salivary glands." J Nihon Univ Sch Dent. 39(3). 147-153 (1997)
• [文献書誌] Takeda,Y., et al.: "Pleomorphic adenoma of the minor salivary gland with pseudoepitheliomatous hyperplasia of the oral mucosa." Pathology International. (in press).
• [文献書誌] Tsuneyama,K., et al.: "Primary biliary cirrhosis as epithelitis : Evidence of abnormal salivary gland immunochemistry." Autoimmunity. (in press).
• [文献書誌] 山本 浩嗣,他: "改訂 歯科放射線の臨床診断:画像診断と病理概説" 永本書店, 194 (1997)
• [文献書誌] Langlaris,R.P., et al.: "Dental Dignostic Imaging : Diagnostic Features and Pathology" Charles C Thomas Publisher, LTD., Springfield, 176 (1997)