研究概要 |
既報の各種真核生物および古細菌のEF-1αおよびEF-2のアミノ酸配列をアライメントし、5'末端近くにおいて高度に保存されている配列と、3'末端近くから同様の配列を選んで、これらのペプチドのコードに対応する混合オリゴヌクレオチドプライマーを合成した。それらを使ってT.tenaxの染色体DNAを標的としてEF-1αとEF-2のアミノ酸をコードする遺伝子の主な領域をPCRで増幅し、その産物をpGEM-Tベクターにクローニングした。各々3個づつクローンを選び、塩基配列を決定したところ、EF-1αをコードする領域をもつクローンの挿入断片は、3個ともに1,185bpで同一の配列を示しGC含量は53.1%であった。EF-2では2種類の配列を示し、一方は2,283bpでGC含量は52.5%で、他方は2,286bpでGC含量は52.9%であった。そこでEF-1αとEF-2の染色体上のコピー数を調べたところそれぞれ4個と2個であった。EF-1αとEF-2の塩基配列をアミノ酸に変換してEF-1αでは365残基、EF-2からは761と762残基を推定した。これらのアミノ酸配列を使って他の真核生物と古細菌のEF-1aとEF-2のアミノ酸配列とをアライメントし、そこから最尤法で系統樹を作成した。その結果EF-1αとEF-2のアミノ酸配列から推定した最尤分子系統樹は、古細菌をアウトグループにすると、いずれも一致して真核生物の進化の最も早い時期に共にミトコンドリアをもたない原虫である微胞子虫Glugea plecoglossiが分岐し、次にGiardia lamblia、続いてT.tenaxが分岐するという結果を示した。
|