研究課題/領域番号 |
08672095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
加藤 哲男 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (00159253)
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研究分担者 |
山中 あゆみ 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (40231667)
三浦 直 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (10266570)
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00212910)
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キーワード | 歯周病 / 溶血素 / 内毒素 / 遺伝子クローニング / モノクローナル抗体 / Actinobacillus actinomycetemcomitans / 歯周病原菌 |
研究概要 |
Actinobacillus actinomycetemcomitansは、デンタルプラーク中に棲息する通性嫌気性のグラム陰性桿菌であり、若年性歯周炎および成人性歯周炎に深く関与しているだけではなく、細菌性心内膜炎、敗血症および髄膜炎などの起因微生物としても報告されている。本菌種は、病原性因子として付着に関わる線毛、RTXファミリーに属するロイコトキシン、多彩な活性を示す内毒素なとを保有していることが知られているが、さらにチオール基によって活性化される分子量12kDaの溶血素が報告されている。溶血素は、赤血球を破壊することによって鉄源を供給歯歯周病原菌の増殖を助けることによって歯周病を増悪させたり、また直接感染局所で障害を起こし歯周病の進行に関わっていると考えられる。そこでこの溶血素に注目して、A.actinomycetemcomitansから溶血活性を担う遺伝子のクローニングを行った。その結果、2つのクローン、TZAalとTZAa2、が得られた。両クローンの破砕上清は溶血活性を有しており、それらの溶血活性は、70℃30分間あるいはタンパク分解酵素処理によって完全に失われることがわかった。両クローンともヒト、ウマおよびヒツジの赤血球は溶解したが、ウサギ赤血球は溶解しなかった。前述の12kCa溶血素は、チオール依存性であり、ウサギ赤血球にも溶血反応を示したことを考えると、得られたクローンの溶血素とは異なったものであることが示唆された。またDNA塩基配列、SDS-PAGE解析およびWestern blot解析から、TZAalの示す溶血活性は分子量約1万のタンパクが担っていることが示唆され、アミノ酸配列の相同性検索の結果わずかではあるが大腸由来のphospholipase Lと類似していることがわかった。 血清がたbのA.actinomycetemcomitans内毒素LPSに対するモノクローナル抗体を用いて、臨床分離株を含む数種類の菌株からのLPSとの交叉反応性を調べた。その結果、同じ血清型bからのLPSの中にも反応性を示さないものがあることがわかった。これは、同じ血清型のLPSの抗原性にも不均一性があることを示しており、その抗原が欠失しているのかあるいは構成成分が異なっているのか検討していく予定である。
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