研究概要 |
1免疫組織化学 鶏胚12〜18日齢までの大腿骨を固定・EDTA脱灰し,パラフィン切片を作製した。これらの切片にケラタン硫酸を特異的に認識するモノクローナル抗体(5D4)による免疫染色を施すと,これらの日齢においては,免疫反応性には顕著な差が認められなかった。すなわち鶏胚骨組織には類骨と骨細胞表面および細胞内に反応が認められたが、その他の骨基質の反応は光顕的に明確に認められなかった。また,18日齢の大腿骨から得た切片にケラタン硫酸鎖の1,3-β-グルコサミニド結合を分解するKeratanaseIIを用いて,消化すると上記反応部位における5D4抗体の反応性が消失した。 下記に述べるように,E-extractの5D4抗体による陽性所見から,石灰化骨組織にケラタン硫酸が取り込まれている可能性が示唆されている。そこで,石灰化部位の免疫反応性を確認するために,試料をLR Goldレジンに包埋し,その反応部位をイムノゴールド法によって電顕的に観察している。 2鶏胚骨タンパクの抽出およびタンパクの分離 鶏胚18日齢骨幹部緻密質から抽出した各々のextract(G1-exract,E-extract,G2-exrtract)から得たタンパクをSDS-PAGEによって分離し,SDS-PAGE後のゲルをsilver nitrateまたはStains-allで染色し,ゲル上のタンパクを確認した。Stains-all染色によってE-extractには青に染まる沢山のバンドが認められたことから,E-extractはカルシュウム結合タンパクを豊富に含むことが判明した。 また,各extractから得たタンパクをSDS-PAGEによって分離し,さらにゲルを転写膜に転写した後に5D4抗体を用いてWestern blottingを行った。その結果,G1-extractには,分子量約76kDaと100kDaおよび200kDa以上の三つのバンドに中等度の反応が認められ,E-およびG2-extractには分子量約76kDaのバンドに強度または中等度の反応が認められた。
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